共感しすぎて相手に飲み込まれてしまう
こんにちは。アクシス・サポートです。
法人向けのメンタルサポートサービスを提供し、従業員・会社を笑顔にするお手伝いをしています。
弊社のホームページをご覧の方の中には、従業員のメンタルヘルス問題に悩まれている企業の人事部門のご担当者の方もいらっしゃるかと思います。
メンタルヘルス問題が原因で会社を休みがちになったり、休職されたりする従業員の方はご本人ももちろん辛いのですが、その窓口となる人事担当の方にもメンタルヘルスに影響が出ることが少なくありません。
ご承知の通り、メンタルヘルスが阻害され、休職や退職となる従業員は近年増加傾向にあり、中でも気分障害(うつ)によるメンタルヘルス不調は一度罹患すると瓦解するまでにかなりの時間がかかり、罹患した本人も非常に辛い時間を過ごさなければならず、復職してもすぐに元通りに働けるようになるとは限らず、大変深刻です。
国も「うつ」対策にさまざまな側面から乗り出そうとしているのが現状ですね。
うつ病は、日本では約15人に1人が、一生のうちに一度はかかる病気といわれています。
実は「誰がいつなってもおかしくない」と言われるほど、身近な病気なんですね。
ここに、厚生労働省「こころもメンテしよう」に掲載されている<うつ病の特徴>をご紹介します。
次の症状のうち、5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いた場合は、うつ病の可能性があるとされています。
暗く悲しい気分が1日中続く
これまで好きだったことが楽しめない、興味がわかない
食欲がなくて体重が減ってきた、または、食べすぎる
毎日眠れない、または寝過ぎてしまう
イライラして、怒りっぽい。あせる
疲れやすくて、元気がない。何もやる気がしない
自分が役に立たない人間だと感じる
集中力がなくなって、物事を決断できない
将来に希望がもてず、死んでしまいたいと思う
メンタルヘルス問題を抱える従業員の方の窓口になる人事担当者の方は、このような心持ちの方とお話ししたり、現況をヒアリングする場面がある場合があります。
そんな中で、ご担当者の方自身が憂鬱な気持ちを感じる時間が長くなり、無力感に襲われるなど、うつ状態に近い症状を感じるケースも少なくありません。
このように、相談を受けたり現況を聞いているうちに相手の気持ちに飲み込まれてしまう人は、得てして「共感力が高い」という特徴をお持ちであることが挙げられます。
共感力が高い人は、相手の立場に立って考えることができ、常に目の前の人がどういう状態か気を遣い、優しいといった特性を持っているんですね。
また、お互いを思いやってこそ健全なコミュニケーションが生まれるため、共感力はコミュニケーションには欠かせないものです。
人は「わかってほしい」生き物なので、共感してもらえると安心感を覚えます。「共感してもらえている」と感じることで、人は心を開いて話すということもできるんですね。
共感力が高い人はこういった点でも、人の内面や適性を判断したり、時に悩んでいる従業員と接する機会のある人事の部門に適していると言えるでしょう。
ただ、この共感力が高すぎると、相手の感情に飲み込まれてしまう、といった問題が起こってきます。
これを「無境界(Confluence):「私」と「私でないもの」の間に境目がない」とゲシュタルト療法(心理療法の一つ)の世界では呼ばれています。
この「無境界」とは、自分と他人の間に境界線が引かれていない状態で、過度に人に共感してしまって自分の感情と他人の感情の区別がわからなくなってしまう状態を指しています。
この[無境界」の状態に陥ると、他人の苦しみや悲しみを、自分の苦しみや悲しみのように捉えて苦しんでしまう、など、他人の感情を飲み込んで自分の感情と区別ができなくなってしまうんですね。
このような「無境界」の状況に陥りやすい人の背景には、こんな傾向が見られます。
・口で言っていることと心の中で思っていることが異なる家庭で育った
・親が幸せそうでない、不安そう
・過干渉の親に育った
このように、心の中に本音を隠し持って建前のみを口にする家庭や、親が不幸そうだと、子供は親の考えていることがわからず、安心することができません。そこで、一生懸命親の気持ちを察して共感することで、親と一体感を味わおうとするんですね。
また、過干渉の家庭の場合は、親が一方的に「こうでしょ」と子供の気持ちを無視して親の価値観や気持ちを押し付けるため、子供は自分というものを感じられず、親の感情に飲み込まれて同じ気持ちになる、ということが日常になってしまいます。
こういった背景を持つため、「無境界」になりやすい気質の方は、眼の前の人が辛そうにしていると、自分のことのように辛くなってしまい耐えられなくなってしまうんですね。
このように「無境界」の状態に陥ってしまいがちな方は、自分と他人の間に境界線を引く、という意識を持つことが大切です。
自分と他人の間に境界線を引く、とは「自分は自分、他人は他人」という意識を持つということですね。
いくら家族であっても、親しい友人であっても、このスタンスを持つことが大切です。
もし、この言葉が冷たく感じるようなら、もしかするとあなたは「相手に同調して、同じ気持ちになることが親しいことであり、優しさだ」という価値観を持ってはいないでしょうか?
もしそうであるなら、相手に入り込むのではなく「寄り添う」という意識でただただ否定することなく相手の話を聞く、ということを意識してやってみてはいかがでしょうか。
もし、それでも相手に共感しすぎてしまって辛い、という場合は弊社のサービスを是非ご利用下さい。